芥川賞2作品について。(偉そう)

文藝春秋を購入。芥川賞受賞作が両方読めるのなら安いもんよ、と。両作品とも短く軽く、面白かったです。個人的には“蛇にピアス”の方が面白かった*1。「本屋で立ち読みしていたら吐きそうになった」と言っていた人がいたので一体どんなに気持ち悪い作品なんだろうかとビクビクしていたのですが、ピアスの話は絡んでいるものの普通の恋愛小説でした。汚い話と言ってしまえば汚い話なんですけど、こっちの方がストレートで私は好き。
蹴りたい背中”はやっぱり題名がいいよねえ。でも内容は前作の“インストール”に引き続き今ひとつというか…。おばちゃんな私は冒頭から「な、なんだこの口調」と引いてしまったよ。登場人物が高校生でこれだと幼すぎるような気もするよ…?妹は「つまらん!」とか言って途中で放棄していた。インタビューでは「ひとつひとつの文章の評価が高いですね」と言われていたけれど、言い回しがなんかくどい時がある(これは江國さんの作品を読んでいてもたまに思う)。あと妹と話していたら、これ読んでると綿矢さんはウケを狙っているんじゃなかろうかと思うところがあるよね、とどちらからともなく言い出し、しまいには「この子ねらーかもよ」などという話にまで飛躍してしまいました。ありえへん。
と、普段たいして読書もしない人間が色々と偉そうですけど楽しませてもらったんですよー。どちらも20歳の書く文章とは思えない。これからの作品が楽しみ。ただ選評の欄で石原さんもおっしゃってましたが、現代の青春はなんて閉塞的なんだろう。思春期の特徴と言われればそれまでだけど、それだけではない気がする。まあ私もそんなこと言える年齢ではないですが。

*1:アマという男性が出てくるのですが、彼が何かする度にアマラオを思い出して仕方がなかった(全然違うけど)